2018年1月21日日曜日

第47話 心を清める酒

踏ん張るときに、つい口に出てしまう「どっこいしょ」。思えば不思議な響きだが、これには語源がある。

それは、昔山登りの掛け声であった「六根清浄」。(仏教用語で、人の迷いの原因とされる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感と、第六感の意識を浄化するという意味)
これが繰り返されるうちに「どっこしょ」となった、というものだ。

では、この「六根清浄」を名に持つお酒が山形にあることは、ご存知だろうか?

店先には、酒屋の証杉玉が飾られている。











 これが清酒「六根浄」を手掛ける純米酒専門店「La Jomon」だ。

左側が窯、右には陶芸教室がある











 約200年の伝統をもつ平清水焼きの窯元のひとつ、七右エ門窯のすぐ近くにお店はある。

お店へ入ると、店主の熊谷太郎さんが出迎えてくれた。熊谷さんは、以前山形市「男山酒造」で七年半、宮城県気仙沼「男山酒造」で三年、酒造りの修業をし、今でも「美味しい酒とは何か」と追及を続ける清酒の求道者だ。

温度管理のされたセラー

 お店には、オリジナル商品「六根浄」の他にも熊谷さんが厳選した純米酒が並ぶ。
この時は、今全国で人気が高まり品薄が続く新政酒造の「No.6 X-Type」もあった。このラインナップだけでも、La Jomonの日本酒への情熱の一片が伝わるのではないかと思う。

今回は蔵出し第一号の限定新酒

















 今回は、お目当ての「六根浄」を購入した。

熊谷さんは、「良いお酒を飲むこととお経を上げることが同じく『六根浄』の境地へ至る道なのではないかと…恐れながら思っています」、
「誰しもが『六根浄』の境地へと至れるような、ほんものの良い酒を提供したいと考え、店を『六根浄』と名付けることにいたしました」と語る。
(「La Jomon」の旧店名は「六根浄」)

寺院や神社の御手洗の水盤にはよく「洗心」の二文字が刻まれているが、
これは「ここで口を漱ぎ、手を洗うのは、単に身を清めるだけでなく心の穢れを洗い清めることこそ大切なのだ」という意味だという。

これと同じことが、「六根浄」にも言えるのだと思う。
生活や仕事のなかで、時に踏ん張らなければいけない時はある。そして、緊張や悩みを和らげたい時も。

そんな時は、このお酒を飲みながら、「六根清浄」と唱えてみてはどうだろう。

そのままでも美味しいが、ソーダ割りもおすすめ。



【追記】
先ほど確認したところ、「六根浄」の新酒は早々に完売してしまったようだ。
次の入荷は三月末とのこと。

(文・写真 北嶋孝祐)

--------------------------------------------------------
La Jomon
住  所 山形県山形市平清水210
営業時間 9:0017:00
定休日  火曜日

0 件のコメント:

コメントを投稿